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エッセイ

「わたしの特別な1冊」



  皆さんは、どんな時にどんな本を読みますか?
 現実から飛び出してワクワクしたい時にアドベンチャーやSFを読むという方や、キュンキュンしたい!という時に恋愛小説を読むという方がいるのではないでしょうか。でも、何かに悩んだり、うまくいかなかったり日々の生活で何か大きな壁にぶつかってしまった時、そんな時に心の支えになってくれる、そんな本も素敵だと思いませんか。今回は、そんな「わたしの特別な1冊」について書きたいと思います。その1冊は梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ(新潮文庫)』という本です。日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、第44回小学館文学賞を受賞し、2008年6月には実写映画も公開されたとても有名な作品です。ここからは内容を話しつつ私のおすすめポイントを紹介します。主人公は、「まい」という1人の少女です。まいは中学に進んでまもなくどうしても学校に足が向かなくなってしまいます。そんなまいが西の魔女と呼ばれるおばあちゃんの下で過ごしたひと月余りを回想する場面からこのお話は進んでいきます。
 おばあちゃんとまいのエピソードの中で私が1番印象強かったものは、学校での話をする場面です。おばあちゃんの「クラスの中のグループが仲良くなることはないのですか」という問いに対してまいはこう答えます。「簡単だよ。みんなで誰か1人を敵に決めればいいんだもの」私はこれを初めて読んだときの衝撃を忘れません。あぁこんなにも学生の現実をまっすぐに書いてある話があるのかとそう感じました。しかし何よりも私の心にずっと残っているのはこの後のおばあちゃんの返答です。自分が悪いと心を塞ぐまいに、「自分が楽だと思う生き方をその時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」とこう言います。この言葉は今でも私を支える言葉です。悩んだ時、壁にぶつかった時、この言葉は私にも元気と勇気を与えてくれます。
 ここまで多くのことを書いてきましたが、私が皆さんに伝えたい事は「本は人生を豊かにしてくれた」という事です。文学の街である北九州市には多くの本と触れ合う機会があります。皆さんも自分の特別な1冊を見つけてみてはいかがでしょうか。その本が自分の世界を変えるかもしれません。