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エッセイ

北九大の学生がガイドする、文学の街、 北九州。
「ねぎぼうず」と あの頃の私を皿倉山で



 「ねぎぼうず」は北九州市出身の詩人・児童文学作家である、みずかみかずよさんの詩集です。
 この本は小学校の国語教科書でもおなじみのみずかみかずよさんの代表作42編を収録したもので、今や非日常的なものとなってしまった自然の美しさというものを見事に表現しています。普段何気なく目にしている花や生き物、目にとまるすべてのものへ愛がそそがれている。子供から、愛するものを持った大人まで楽しめる作品です。
 私はこの詩集を読むにあたって、小学生の頃の自分を取り戻して読みたい!と思い、あの頃の自分がよく本を読んでいた場所を思い浮かべました。物があふれた私の部屋、友達の声が聞こえる教室、窓から一面に海が見える図書館、そして私は、たくさんの本に囲まれて読書をしたいという小さな願望を思い出しました。そこで勝山こどもと母のとしょかんで読むことにしました。そしてもう1か所、みずかみかずよさんは八幡東区で生まれ、皿倉山を見つめながら詩や童話を書いたといわれています。「だったら私は皿倉山から景色を眺めながら読んでみよう」と思い、ケーブルカーに乗り、山頂の広場で読んでみました。
 図書館ではたくさんの子供が読書をしたり遊んだり、思い思いに楽しんでいる中、靴を脱いであがる、絵本の棚に囲まれたコーナーではお母さんが子供によみきかせをしていました。それを見てふと、「私は母に絵本を読んでもらったことがあるだろうか」と疑問に思いました。いくら考えても思い出すのは忙しそうにしている母と、それについて回って音読の宿題をしている私の光景。でも私は愛情を受けていなかったわけでは決してない。その光景を思い出してほほえましく幸せな気持ちになるのだから。
 この幸せな気持ちは、皿倉山で詩集を読んだ時も同様でした。今目の前に広がっている、私が生活しているいつもの空間の1つ1つに愛をそそいでみる。あそこの花に、あの生き物に私は生かされている。そう感じました。小さい頃に本を読んでいた感覚とはまた違う感覚を発見したような気がします。皆さんも今とはちょっと違う場所で本を読んでみませんか?

しちみ