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コラム

人工知能が人それぞれの「信用」を判断する時代に。
~個人の行動や属性をスコア化して活用する金融界と隣国、中国の現状に思う~。

 前号では人工知能(AI)の技術開発、および人間との共存可能性について触れた。ロボットの進出により多くの人が仕事を失うことになるかもしれないと書いたが、それは金融という仕事に関しても例外ではない。例えば融資の申込みを受けた際、当該申込者への融資が可能であるか否か、またいくらまでなら融資枠を設定できるか、といった与信判断を行う必要がある。融資判断をする上で非常に重要な業務であるが、ここをAIによって自動化しようとする動きが国内外で見られるようになってきた。国内ではみずほ銀行とソフトバンクの共同設立による新会社「J.Score(ジェイスコア)」がAIによる個人の信用力の点数化を始めた。融資希望者の年齢や学歴、年収などの多様な情報を元にそれらを1000点満点で点数(スコア)化、獲得したスコアに応じて融資可能枠や金利帯が設定されるというものだ。興味深いのはスコアリングの判断材料とされる情報が、年齢や年収、勤務状況等といった一般的に重要と考えられているものだけではなく、個人的な趣味や嗜好なども含まれているということだ。これらの情報を総合的に分析することにより、AIは不正な申込(虚偽の申告内容等)を判断することもできるのだという。一方、海外でのスコアリング導入事例はもっと進んでいる。中国では政府や金融機関が管理している情報やインターネット上で取得できる情報を元に個人をスコアリングしているそうで、スコアのアップやダウンは金融的な評価によるものだけに止まらない。例えばインターネット上での不適切な書き込み、あるいは無賃乗車などによりスコアはダウンし、公園のごみ拾いボランティアを行えば反対にスコアはアップする。ここまでくると実生活の極端な行動監視という感もあるが、実際にスコアが悪くなると海外旅行のビザ取得の可否や子供の進学などにも影響するというから驚きだ。結果として規則正しく、常識的な生活を送る中国人が増えたそうだ。AIによる個人の信用力のスコアリングは今後も開発が進み、もしかすると公教育の場にも採用されるときが来るかもしれない。しかし日々対面での融資業務に携わっている私としては、数値化できない「人間味」の部分も大切に感じとっていきたいと思う。



日本ファイナンス有限会社
下関店 店長
松原 剛
AFP(日本FP協会認定)
TEL083-234-3544
http://nihon-finance.com
借金で苦しむ人への的確なアドバイスで定評がある、消費者金融のプロフェッショナル。弁護士の人脈、債務カウンセリング、真摯に相談に乗る姿勢が認められ、感謝の声が多数寄せられている。ラジオなどのメディア出演を通して、借財に対する正しい認識を広めている。